February 16, 2009

乾いた地面を雨が打つ

5本指靴下に乗り換えて3ヶ月。
初めて指が5本全て一発で収納できた記念すべき日。
この日常にありきたりな小さな幸せに、祝杯を挙げたいぐらいだった。


1…1…9

「救急です。

母親が目眩を起こして立ち上がれなくなり、嘔吐を繰り返しています…。」


低音障害型難聴…。
よく似た症状で「メニエール」が有名らしいが、低音障害型難聴というのは初耳。
母親曰く、ここ数日、朝起きると圧がかかって聞こえ難いことがあっても暫くすると治ったが、この日は朝からそれが治まらず、目眩、嘔吐へと繋がったとのこと。


医者にかかることを極端に嫌い、近所への目を気にする母親が自ら救急車を呼んでほしいと頼む姿は嘗てなく、これは一大事!と偶さか休みだったボクが119番した次第である。
事実、窓からうちの様子を窺う近所の目が光っていた。


救急ではCTスキャンなどの検査を行ったが特に異常は見られず、会社を早退して病院に駆けつけた親父と共に午前中には帰された。
救急隊員も入院するような重症ではないと見極めており、救急車に同乗するのではなく自家用車で来られた方がよいとの助言をボクに与えていた。


帰宅してから近くの耳鼻科で診てもらったところ、低音障害型難聴と診断された。
薬も効いたのだろうが、夜には午前中の足元の覚束無い、切羽詰った病状が嘘みたいに鳴りを潜めていた。


その一週間後、まさかボクがその耳鼻科にお世話になるとは思いもしなかったけれども。。  

Posted by foe1975818 at 23:49 最近 

February 14, 2009

鬼のイヌ間に

ボクの家は(と言ってもボクが購入した家ではないけど)駅からほど近く、徒歩にてたったの5分。
但し、駅から近くといっても昼間でも人通りはさほど多くはなく、道も狭い。
日が暮れた時の不気味さは、ひったくりや空巣が続発している事実から想像していただきたい。

うちの裏手に住んでいるKさんは80歳を超えた非常に品のあるお婆さん。
例に漏れず空巣に侵入された体験をされていて、今は息子さん夫婦と隣同士に住んでいる。
空巣対策として投入された刺客が雌の柴犬「サチコ」。
今年でまだ2歳。
残念ながら人懐っこく、番犬としての役割はどうやら果たしておらず、まだまだ青二才である。

友人HがプラズマTVを25万円で口説き落とした翌日の夕方。
夜からの勤務に備え、ampmで愛読書「週刊GALLOP」を購入して帰宅すると、辺りをきょろきょろしながら我が家のインターフォンをプッシュするKさんの姿がそこにあった。
「どうしたんですか?」
「犬がいないんよ。」
今にも泣きそうな顔で訴えてきた。

サチコをいつも繋いでいるポールが引き抜かれており、鍵代わりに用いていた檻の鎖も解けていたというのである。
かわいいサチコを掻っ攫ってどこかに売り出そうとしているのか意図は不明だが、これは明らかに人為的である。
ボクは仕事そっちのけで、丁度買い物から帰宅した母親と捜索にあたる。
三流刑事ドラマのホッと一息つく7話目あたりに設定されていそうな話である。

が、ドラマのようにナイスなタイミングで見つかることはなく、サチコはボクによって捜索2分足らずであっさり発見される。

遠くへ逃げてしまったのではないかと遠方へと目を向ける2人をよそに、ボクはKさん宅の裏手に鬱蒼と生い茂る雑木林へと足を踏み入れる。
敷き詰められた落ち葉が不自然に小刻みなザサザサという音を立てる。
そ〜っと近づくと、間の抜けた顔でこちらの様子を窺うサチコの姿。
ボクはサチコとは「面識」がなく、近づいて逃走されるのは避けたいし、何より犬に内腿をかぶられた痛い経験を持つ「人んちの犬恐怖症」を発症しているので、顔見知りの母親が名を優しく呼びながら慎重に近づいて捕獲。
借りてきた猫のよう大人しく抱っこされたサチコは、無事、怪我もなく飼い主の手に戻された。

恐縮するぐらいにKさんに感謝された。
人の役に立つという、況してやそれがお年寄りならば、社会に貢献したような気持ちになって、決して気分は悪くない。
この「事件」はこの近辺特有の「村気質」から、数時間で瞬く間に広まり、今や知らぬ者はいない。

ただ懸念しなければならないのは、この手の動物に危害を加えるという兆候は、人に危害が、即ち殺人事件が勃発する傾向を示している。
この数ヶ月は気が抜けない。

ところが足元を掬われた。
サチコ捕獲するという大役を終えた母親が病に倒れたのである。  
Posted by foe1975818 at 00:33 最近 

February 03, 2009

血で字

「地デジ」「地デジ」。
著しく前髪が干上がってきた草剛がしつこく、そして静かに喚いている。
2011年までにデジタル仕様のTVを購入せねばならないが、我が家のTVの寿命からすると、買い替え時期としてはいい頃合いである。

数年前にブラウン管のデジタル仕様のTVを購入していた友人H。
つい最近、パイオニアのプラズマTVに惚れたらしく、様々な店舗で調査、吟味し、友人Y、ヒロキジーニョ、ボクが香川県でうどんに舌鼓を打っている間に、ヤマダデン●へ足を踏み入れていた。

「欲しいのは山々なんやけど、やっぱり値段がネックや。嫁が食いつかんと思うわ。」
友人Hは偽らざる心境を吐露していた。
多くの家庭でもそうだとは思うが、一家の財務大臣である「嫁」が財布の紐を緩めてくれないことには、いくらパイオニアのプラズマTVについて熱く語ったところで絵に描いた餅となる。

ところが友人Hの嫁が、このプラズマTVに食いついたと言うのだ。
2次元だった餅が3次元になったのである。
これで友人Hは完全に戦闘モードへ突入。

希望していた50インチのプラズマTVは一つ前の型で、大幅な値下げを期待し、値段交渉に入る。
まずは手堅く39万から27万まで引き下げたという。
それでも充分だとは思うが、友人Hは得意のゴリ押し戦法を発動し、25万に設定してラストスパートに入る。
その2万に費やすこと1時間弱。
「下げてくれたら今、買う。」
「現金で買う。」
などの殺し文句を嫁共々駆使し、眉毛が縦になるのではないか?と心配するぐらいに店員は困り果てた表情を浮かべながらも、25万で交渉成立。
「あの店員さん、いい仕事してくれたわ。」
友人H夫妻はホクホク顔で帰宅し、香川県遠足から戻った我々といきつけのスーパー銭湯へ。

友人H夫妻が既にここの岩盤浴を体験済みで高い評価を与えていたので、この日、ヒロキジーニョとボクは初めて別料金を支払って岩盤浴ゾーンへ足を踏み入れる(22時以降は350円とお得)。
サウナとはまた違う汗の掻き方を体感。
ある意味、サウナよりも汗を掻き、体が干上がってしまった。


翌日、近所でちょっとした事件が起こった。  
Posted by foe1975818 at 23:07 最近