今の勤務地では、引継ぎ事項を含む、諸々の事務処理、及び雑談に追われ、大抵は定刻通りに終わらない。
しかし3月24日は特別。
普段なら30分は掛かるであろう、それらの「雑務」をダルビッシュ並の剛速球で済ませ、
「今日だけはすんません!」
セフティーバントを試みたイチローの様に勤務地を引き上げた。
10時ジャストに帰宅すると、仕事のはずの親父がリビングで寛いでいる。
「今日は『この為』に有休を取った。」
正気か!
日本が韓国を下した。
携帯小説級のベタで劇的な幕切れ。
こういう試合は勝ち方などどうでもよいのである。
翌朝、食事をしながら読売新聞のWBC関連の記事に目を通す。
お祭り騒ぎでえらいことになっている街の声も掲載されてある。
「阪神大震災の翌年にオリックスを日本一に導いてくれたイチローが、今度は世界一を決めてくれた。大満足です。」
川西市の会社員……。
!!!
って、友人Yやないか〜い!!!
いつもの10倍速でメールを打ち、送信。
返ってきたメールによれば、世界一を決めた夜のNHKやTBS系列のニュースでは友人Yがインタビューされている場面が思いっきり使われていたそうだ。
遂に友人Yも全国区か。
やはりあいつも何かを持っていやがるな。
友人Yが衝撃の全国デビューを果たしたならば、ボクは園田競馬場に乗り込むしかなかろう(なんでやねん)。
朝一の11:10の第1レースから8レースまで外れ馬券の山を築く。
折れかけていた心をギリギリで繋ぎとめてくれたのが第9レース。
渾身の3連複276倍を仕留め、更にこの日一番の勝負レースに認定していた最終レースも頂戴し、誰にというわけでもなくイチロー風のピースサインを決めた。
本当にごちそうさまでした。