「空手の強い大阪の大学生」で、固有名詞が出てきますか?
20日〜24日まで北海道一人旅してて、ナリタタイシンが繋養されているベーシカルコーチングスクールの事務の女性に人違いされた。
誰やろ?誰やろ?って視線が若干右上方で運転していたら、目的地の支笏湖ユースホステルへの到着が少々遅れる気配。
ペアレント(責任者)の老婆からの留守電が入電されていて、折り返し電話をすると、今どこだの、あとどれぐらいだのと問い詰められ、仕舞いには「あなたが来るまで夕食を待ってますから。」だって。
布団を被ったみたいに、北海道って本当に日が暮れるのが早い。
でもまだ17時だぜ。
どんなけ晩飯を急ぐんだ。
それにボクなんて放っておいて他の客は勝手に食えばいいじゃないか。
飛ばしましたねぇ。
日高から支笏湖までで、追い越した車の数知れず。
いつ動物が飛び出してきてもおかしくない森をほぼ一直線で貫く信号の設置されていない国道。周囲は真っ暗闇。
小雨で視界が更に遮られる。
これでスピード違反でとっ捕まったら、ボクはもう何をしたかわからないだろう。
17:50に到着。
「婆さん…いや、おかあさん、すんません遅れまして。」
老婆が安堵の表情を浮かべる。
北海道旅行ラストを飾る夕食は1つの鉄板を3人の男がジンギスカンを突くスタイル。
だからボクが車で到着するのを待たざるを得なかったわけだ。
自ら鍋奉行を買って出てくれた男性にお礼を述べると、
「いえいえ、好きなんでいいですよ。」
その鍋奉行は北海道へ釣り目的で訪れた40代。
それに「ザ・馬」の30代のボク。
日本語が一切通じない斉藤洋介似の香港人。
どんな場所を訪れたかなどの話題に花が咲く。
でも香港人は黙々とジンギスカンを突いている。
その日言われた「空手の強い大阪の大学生」の話題を振った。
釣り師も「誰でしょうね?」
首を傾げる。
すると今まで一言も口を聞けず黙々とジンギスカンを突いていた香港人が箸を止めて口を開く。
「Mr.ISHII!」
思わぬ所からの口撃に日本人2人はたじろいだが、冷静に「ISHII」の意味を考えてみる。
ISHII
石井
大阪
空手
はっ!
日本人2人は同時に閃く。
そうか!金メダリストの石井慧か!
香港人は親指を立ててウインクする。
さきの事務の女性が「空手」と「柔道」を言い間違えた可能性は高い。
空手のチャンピオンなんて全国的に知名度はないに等しいのに、更に「大阪」「大学生」が乗っかっている。
「空手の強い大阪の大学生」はどこかにはいるとは思うけれど、女性のボクを見る目のキラキラ度。
「そういえば似てなくはないですね。」と同調した釣り師。
間違いない。
事務の女性はボクを「石井慧」だと間違えたのだ。
似てるとは言われたこともないし、自分でも思わないけど、謎が解けてすっきりし、食事を終えた3人は解散した。
それにしても日本語が理解できなかったはずの香港人でも雰囲気で会話が理解できたとは、流石は金メダリスト。
抜群の知名度である。
でも彼こそボクのことを石井慧と勘違いしたままだったらどうしよう。