師走はボクシングが盛り上がっていたようで。
長谷川穂積は有無を言わせぬ試合内容と結果で観客を魅了し、内藤は原形を留めない形相で敗退。
井岡弘樹の甥も躓くこともなく階段を上っているようで。
一時期のボクシング低迷時期は脱したかのように感じる。
でも昔は個性がもっと強烈な、愛すべき選手があらゆる階級にウヨウヨしていた。
ファイティング原田に、輪島公一、具志堅用高に、渡嘉敷勝男、渡辺二郎…枚挙に暇がない。
でも、ボクの世代以降ではボクシングそのものより、引退後のヤンチャな部分や、おかしなキャラが先行している面は否めない。
中でも群を抜くのがガッツ石松。
「OK牧場!」などとギャグの範疇にも組み込まれない意味不明な語句を発し、周囲の空気を停滞させる。
現役時代に頭を殴られすぎたか、頭の中で小鳥を飼っているかのどっちかである。
ところがこれは世を忍ぶ仮の姿で、ボクシングの解説や、新聞の評論では理路整然としたガッツがそこにはある。
この姿を存知の方ならば、「サムタイム 時々」とギャグにもならない言語を発する人物とは到底信じられないことであろう。
これはサプライズ 驚きである。
一方で、10数年前のダウンタウンDXにおいて、元チャンピオンボクサーに集結してもらい、ボクサーの体内時計を計るという企画で、「シャドウボクシングを1分間ジャストで止められるか」という実験を行ったところ、他のチャンピオンが1分そこらでシャドウボクシングをきっちり止めたのに対して、ガッツ1人が止めない。
明らかに1分はオーバーしている。
共演者もざわつく。
で、ガッツは止めた。
結果は1分40秒。
ずっこける共演者。
ガッツ曰く。
「1分は100秒だから、それぐらいはいくでしょう。」
天才だ…。
確かに1分は100秒ではない。
でも、1分40秒は100秒である。
誰も勝てるわけがない。