September 14, 2005

栗毛の超特急3

「逃げる」
と聞くとあんまりいい印象はない。

逃げ口上、逃げ足、食い逃げ、ヤリ逃げなどなど。

競馬では「逃げ」という脚質がある。
ゲートが開くと、先頭に立ってそのまま「逃げ」きりを狙う。

ロビンソンが競馬を始めた頃、ミホノブルボンという「逃げ」馬がいた。
当時、「逃げ」馬はただの「目立ちたがり屋」だと思っていた。
TBSのオールスター感謝祭の赤坂マラソンで、最初だけ突っ走って目立って後半消えていく若手男性タレントのようなものだ。

2000mのG技月賞でこのミホノブルボン、「逃げ」馬なのに本命印の◎がズラッと並んでいる。
親父に「この馬、逃げやけど大丈夫なんか?」と聞いたところ「この馬は大丈夫」とのこと。

スタートするとすぐに先頭に立ち、早くも「逃げ」る。
最後の直線になってもその脚色は衰えず「逃げ」きり、1着でゴールイン。
強い。
ただの「目立ちたがり屋」ではない。
ロビンソンは「逃げ」こそ最強の脚質だと気づかされ、ミホノブルボンの栗毛の美しい馬体とスピードに魅了され完全に虜になった。

つづく2400mの競馬の祭典ダービーでも距離不安説を吹き飛ばし、「逃げ」きって圧勝。
6戦6勝。
今年のディープインパクトのように無敗の2冠馬となった。

夏を無事に過ごし、足慣らしの一戦も勝利して、残るは3000mの菊花賞。
勝利すれば皇帝シンボリルドルフ以来の無敗での3冠馬の偉業達成となる。
ミホノブルボンはもともと1600m以下の短距離血統であるが、戸山為夫調教師のスパルタ教育によって2400mのダービーを制するまでに至った。
菊花賞は調教で血を凌駕することができるのか否か、興味深い一戦となった。
相手には長距離でこそ力を発揮するライスシャワーやマチカネタンホイザもいる。
そして、今まで指をくわえてミホノブルボンに「逃げ」させていた他陣営も動いた。
キョウエイボーガンが何が何でも「逃げる」と宣言したのだ。

ゲートが開いた。
宣言通り、キョウエイボーガンがガンガン行く。
3000mを走る上で、キョウエイボーガンを追いかけてはスタミナがもたない。
ミホノブルボンは「逃げ」ずに2番手。
いつもと違い前に馬がいて戸惑っているのか、少し行きたがっている。

4コーナーでキョウエイボーガンを捕えて先頭に立つが、今度は外からメイショウセントロが馬体を合わせにいく。

最後の直線。
ようやく先頭に立ったミホノブルボン。
必死に逃げ込みをはかるが、内から名手岡部の操るマチカネタンホイザ、外から小さな漆黒の馬体のライスシャワーが迫る。
ミホノブルボンは止まっておらず伸びているが、ライスシャワーの伸び脚が勝っていた。

ミホノブルボンは2着。
マチカネタンホイザの猛追を凌いだのはさすがである。

「素質というのは調教で伸ばせるが、本質というものは変わらないから…。」
レース後の戸山調教師のコメントである。
ミホノブルボンはよくやった。
ライスシャワーの勝ちタイムはレコードである。

ミホノブルボンはこの後故障が重なり、ターフには帰ってこなかった。
8戦7勝。2着1回。
ほぼパーフェクトな成績を手土産に種牡馬となった。


で、昨秋そのミホノブルボンに会いに、ロビンソンは北海道へ飛んだのだ。
北海道一人旅ではいろんな名馬たちに会いにいったが、なんといってもメインイベントはミホノブルボンである。

シーズンオフということもあり、牧場にはロビンソン一人。
ブルボンを独り占めである。

放牧地の中央に佇むブルボン。
ロビンソンの姿を発見し、ノッソノッソとこちらへ向かってくる。
ビデオカメラをまわすロビンソンの手は震えている。
完全に手ブレ修正機能の想定外である。
「ブルボン来た。ブルボン来た。」
その声はところどころ上ずり、ショーケンのようである。

アホなことにニンジンやリンゴなどの手土産を持参せずに行ったもんだから、その放牧地の草をむしりとってブルボンにあげた。
おいしそうに食べるブルボン。
催促するので、もう一度草をむしりとって、あげようとしたが食べない。
ブルボンはロビンソンのリュックサックに顔を近づけている。
どうやら草ではなくご馳走をお待ちかねのようである。
「スマン、ブルボン。買ってくるの忘れた。」
ブルボンはロビンソンからはご馳走はもらえないと判断し、ロビンソンの元を離れた。


なにもオレから「逃げ」なくてもいいでしょうが。
Posted by foe1975818 at 15:06│Comments(12)TrackBack(0) 競馬 

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この記事へのコメント

 そういう落ちですか。(笑) 

 逃げ馬なら、俺は、セイウンスカイとサイレンススズカが好きでしたね。
 
 
 逃げ馬って何かロマンがありますよね。
 
 内容とは関係ないですが、リンクはってもろてたんですね。俺もリンク貼らせてもらいます。結構好きっすよ、ロビンソンブログ。好きっすよ、ってあの人に言ってみたい。
 
 じゃ、また。
Posted by ある契約社員 at September 14, 2005 22:08
勝手に貼ってしまって申し訳ないです。

セイウンスカイにも会いましたよ。
首を忙しそうに上下に振ってました。
あの馬には出来れば最後まで徳吉ジョッキーでいってほしかった。

サイレンススズカは芝の中距離というカテゴリーでは世界最強だと思います。
ほんとに残念な最期でした。

好きってあんまり言わないです。
ここぞっていうときしか。
Posted by よしゆきロビンソン at September 14, 2005 22:26
>「ブルボン来た。ブルボン来た。」
すごい面白いwww
お馬さんってかわいいですよね。あの顔を見ると和みます。

オチウマー
Posted by Kタソ at September 14, 2005 23:24
自分もミホノブルボン大好きですよ。逃げ馬のブルボンが、たしかデビュー戦だけは追い込んで勝ってるんですよ。

セイウンスカイは引退式でオーナーと横典が軽く揉めて、その後同オーナーの馬には横典乗ってないそうです。

サイレンススズカのせいで1が並ぶと縁起悪いって思いこむようになってしまいました。

それにしても最近競馬がおもしろくないです。
Posted by クロフネ at September 14, 2005 23:39
ブルボンに会うまでに他の馬にも色々会ったんだけど、噛み付かれたらイヤなんで触れなかった。
でもブルボンにはそんなことを忘れて触りましたね。
どんなけ興奮しとんねんと自分でも思う。


Posted by よしゆきロビンソン at September 14, 2005 23:40
そう、中京の1000mで出遅れて差しきり、レコード勝ちしてますね。

そういえば横典は藤沢厩舎の馬にも乗せてもらってなかったはずが、札幌記念でダンスインザムードに乗ってましたね。
関係修復したんかな?

最近はロマンより馬券オヤジになってるんで、「馬券」的におもしろいレースは結構あります。
基本的に武豊と安勝と外国人のいないレースに手を出してます。

でも、ミホノブルボンのような超良血ではない強い馬とか、ツインターボのような個性のある馬・ジョッキーの出現に期待したいですね。
Posted by よしゆきロビンソン at September 14, 2005 23:51
こんばんにゃ〜ヽ(*´▽`*)ノ
とってもチンプンカンプンなお話でしたが(笑w)、
オチが楽しかったで〜〜〜っす(●´ー`●)♪♪♪(爆)
Posted by みみ☆彡 at September 15, 2005 02:20
ブルボンは頭がいいんですよ、きっと。
また会いにいきたいですよ。
今度はご馳走を持って。
Posted by よしゆきロビンソン at September 15, 2005 07:24
横典は天皇賞でゼンノロブロイに乗りますよ。藤沢と揉めてたんですか。
Posted by クロフネ at September 15, 2005 20:34
3
そのゼンノロブロイでダービーを2着に「負け」てオーナーが激怒したらしいんですよ。
「アイツを乗せるな」と藤澤に噛みついて。
そのオーナーも亡くなって、ようやく乗れるようになったんじゃないかということらしいです。

ボクも1年くらい前に知ったんですけどね。
Posted by よしゆきロビンソン at September 15, 2005 20:43
そうなんですか。それは初耳ですね。
でも、あれはネオユニヴァース強かったから仕方ないでしょう。
自分の知ってる話は、セイウンスカイの引退式で、オーナーが騎手の乗った写真が欲しかったのに、横典が落ちて怪我するかも知れないから、競馬以外で怪我するの嫌だから、乗らないって言って、オーナー大激怒ってことです。
Posted by クロフネ at September 15, 2005 23:19
3
ジョッキーの騎乗にウダウダ言う馬主はあんまり好きじゃないです。
「自分の馬」っていうのはわかりますけどね。

セイウンスカイ事件は横典らしいエピソードですね。
横典は無愛想でマスコミには嫌われてますが、オレは好きですね。
馬券では邪魔ばっかされてますが。
Posted by よしゆきロビンソン at September 15, 2005 23:31