よしゆきロビンソンの勝手にしやがれ

なんでかわからんが､稀に頭の中である曲がジャンガジャンガ鳴動し､こびり付いて離れないときがある｡
朝にその現象が発生しようもんなら､一日中頭の中でジャンガジャンガ流れてｲﾗｲﾗする｡

東京に住んでいたころ､ある日CHAGE＆飛鳥の｢太陽と埃の中で｣がﾛﾋﾞﾝｿﾝの脳内で流れ始めた｡
なぜ流れ始めたのか理由は判明しない｡
しかもサビしかわからず､一向に前進しないから気色悪い｡
汁が出るほど我慢していたが､寝て起きても流れている｡都合2日のロングランである｡

もうﾀﾞﾒだ｡全部聴きたい｡
○SUTAYAへGOした｡

｢太陽と〜｣は10数年前の曲でｼﾝｸﾞﾙは置かれてなかったし､どうせならCHAGE＆飛鳥を一回見直してみようということでハッスルしてBEST盤を1週間ﾚﾝﾀﾙしてやったのである(こいつもそこそこ古いやつだったが)｡

帰宅して早速聴くわけだが､歌詞ｶｰﾄﾞが入ってない｡
｢まあ古いやつやし､しゃあないな｡｣
大人なﾎﾞｸは怒らない｡えらいのである｡
そんなことより早く聴きたい｡
でもいきなり｢太陽〜｣を聴くのではなく､敢えて曲順通り聴いてやったのだ｡お得意のジラシである｡
懐かしい曲たちをしばし聴き､ついにキタ｡
お待ちかねの｢太陽と埃の中で｣のお出ましである｡

名前も〜……

そうそう｡このﾒﾛﾃﾞｨ｡
懐かしさとﾓﾔﾓﾔが晴れていく気持ちよさにウットリするのである｡
そして､遂にﾛﾎﾞﾝｿﾝ頭の中のﾒﾛﾃﾞｨと重なる時がキタのだ｡
ﾛﾋﾞﾝｿﾝは歌う気満々｡
CHAGE＆飛鳥＆ロビンソン｡ワクワクするような夢のユニットである｡

｢追､追､追い､い､いかけーてー 追いかーかーかけてててて､もの､の､ばりさーっー｣

えー！！ウソだ！ウソだ！

きゅるきゅるっと巻き戻してもう1度ﾁｬﾚﾝｼﾞする｡

｢追､追､追い､いいいいいかけっててて…｣

えー！！頼む｡ウソだと､夢だと言ってくれ｡
そう､音が飛んでいるのである｡

同じことを繰り返すも､飛び続ける飛鳥｡

もう我慢ならん｡
仏の顔は三度かもしれんが､ﾛﾋﾞﾝｿﾝの顔は二度までなのだ｡
ｵﾚをキレさすなんてたいしたもんですよ｡
さらにムカついたのは飛んだのがこの曲ｵﾝﾘｰであることである｡
よりによって1番聴きたい曲が気持ちいいくらいに飛ぶ｡自分の悪運の強さに吐き気すらもよおしたのである｡

○SUTAYAへTELする｡もちろん取っちめるためである｡
携帯を握る手は怒りのためにアル中患者のように震えている｡

｢あのなぁ､さっき借りたCD｡音飛んどんねん｡歌詞カードもついてないし｡どないしてくれんの?なあ｡｣
よし､これでいこう｡最初が肝心｡ド頭でビビらせる｡これがｸﾚｰﾑの基本である｡

｢○SUTAYA□□店です｡｣
｢あっ､すいません｡さっき借りたCDの音が飛んじゃってるんですよ｡｣
｢あっ､申し訳ございません｡ええっと､少々お待ちいただけますか?｣
｢あっ､はい｡｣

｢誠に申し訳ないんですが､お客様がお借りになったCDを当店までお持ちいただけませんでしょうか?こちらで交換させていただきますので｡｣
｢あっそうですか｡わかりました｡じゃあ今から持っていきます｡｣


対応者が女の子だったのよ｡
電話に出るのが男やと勝手に決めつけていたのだ､ﾎﾞｸは｡
相変わらず女の子に弱い｡

冷静に考えれば不良品をしゃあしゃあと売っておいて､それを持ってこいという店の対応は言語道断である｡
なのにCDを持って家を出る頃には怒りは収まっていた｡
むしろ､女の子の素敵な声の感じにウキウキしていたのである｡アホだ｡

店に到着し､｢さっき電話させてもらった者ですが…｡｣とおとなしめに言うと､女の子ではなく､冴えないおっさん店員に対応されてしまった｡
しかし､一旦収まった怒りをもう一度復活させることはできず､交換してもらって無言の帰宅を果たしたのだ｡(割引券をGETしたが)

もしまたこのような事案が発生したなら､ﾎﾞｸは容赦なく痛棒を食らわす｡
但し､めっちゃタイプの女の子の場合は除くものとする｡