December 22, 2005

競走馬は骨折すると、安楽死の処置がとられる。
たかが「骨折」で、である。
なぜ?
競馬1年目で「根性娘」サンエイサンキューに出会えたのは意義深かった。
「なぜ?」が脳内に発生すると勉強したくなるボク。

重度の骨折の場合、骨折した脚をかばい、それによって他の脚に負担がかかる。
すると、そのかばった脚の蹄の血液の循環が悪くなり、蹄葉炎に冒される。
蹄葉炎とは馬の蹄が壊死する病気で、蹄から蹄の骨が剥がれて、最悪の場合、蹄の骨が蹄の底を突き抜けようとする。
そう、不治の病。
その痛みはとても耐えられるものではなく、人間で言うなら爪に釘を打ち付け、その痛みがずっと続くようなものだと。
要は、骨折すると、不治の病である「蹄葉炎」がセットでくっついてくるのだ。

寝かせりゃいいんじゃないの?
無理。寝たら寝たで床ずれを起こし、体の機能が壊死する。
そもそも寝る姿勢自体が不自然なのである。
義足は?
アメリカで研究されたが、上手くいかなかったらしい。
現在では徐々にではあるが治療法は究明されつつある。
でも、蹄葉炎の進行が早ければ、その治療法も意味を成さない。

サンエイサンキューは、普通なら安楽死の処置がとられるほどの重度の骨折だった。
馬主らにより、走りに走らされた彼女。
「サラブレッドは経済動物」
その馬主の意見である。
ところがどっこい
「せめて命だけは…。」
経済動物と割り切るなら、安楽死の処置をなぜとらない?
ろくな休みも与えなかったくせに。
「都合がよすぎる」とは、まさにこのことだ。
彼女は1人の人間の我がままで、競争生活よりはるかに過酷で、無駄な闘病生活を送ることになった。
テンポイントやサクラスターオーで悲しい結果しか生まれないとわかっているのに…。

やはり、蹄葉炎を患った。
数ヶ月にわたり、何度も何度も大手術を繰り返す。

彼女の様子をレポートした記事。
「アバラが浮き出て痩せこけた体。床ずれによる痛々しい傷。そして大きく湾曲した右前脚。1時間立っているのがやっとで、あとは放牧地でも横になってるだけ…。」

有馬記念での悲劇から1年4ヶ月後の4/25。
彼女は生還した。
万に一つもない奇跡が起こったのだ。
どこまでも「根性娘」なのである。

診療所から牧場で療養できるにまで至った。
でもまだ油断はできない。
湾曲した右前脚を伸ばす手術をしなければ、湾曲が進行し、歩行さえ不可能になるかもしれないからだ。
10/16。
手術。
麻酔から覚めた彼女は自力で水を飲むことができたそうだ。

10/21。
心臓マヒで急死。
早朝に突如苦しみだし、獣医の診療の甲斐なく6:40に彼女は力尽きた。
高校2年で競馬を始め、その年の暮れの有馬記念で彼女の悲劇を目にした。
それからというもの、毎週毎週彼女の様態が気になり、雑誌を漁る。
それは1年間続いた。
高校3年で受験で失敗したころ、彼女はまだ闘い続ける。
浪人生活に入った、ある日に、「サンエイサンキュー蹄葉炎克服」の記事を目にした。
「しかし、繁殖牝馬としては難しい」
もういいだろう。
生還しただけで充分じゃないか。
今度こそゆっくり休めるな。

10/21。
あまりに呆気ない。
なんだったんだ、あの闘病生活は…。
せっかく克服したのに…。

ボクは賛成である、安楽死という処置をとることは。
彼女が生還したのは、オーナーに対する、何クソ!!という類稀なる根性がそうさせたんじゃないかと思う。
これは非常に稀なケース。
痛み止めも効かない、尋常じゃない痛みを伴って、ただ、死ぬだけの未来しかないのに、延命もへったくれもないと思うである。

ボクは動物が好きだ。
でも、意外とこういう件に関しては、はよ安楽死にせえ!と軽々しく口にする。
矛盾してますよ。
でもでも、このオーナーよりかは筋が通ってると思いますが、いかがでしょう。

サラブレッドは人間がいないと種も付けれないし、出産もできない。
野生では生きていけないのである。
種付けさせるだけさせといて、死ぬ時は勝手にどうぞ、なんて酷いと思いますがね。
「死」も責任を持つべき。
それがボクの現段階の答えである。

どうしようもない馬券エロオヤジだけど、たまには本気で泣きます。
悪い?
Posted by foe1975818 at 06:40│Comments(5) 競馬 
この記事へのコメント
はじめまして足あとたどってやってきました。
読んでて悲しくなって涙が出てきちゃったんだけど
読むことをやめることが できませんでした。
私もワンコを飼っていて もうシニアなので咳でもしようもんなら
ネガティブなイメージがわいてきてしまい・・・
普段めっちゃポジティブなのにねー。
言葉を話してくれたらいいのにと心から思います。
私も人間のエゴとワンコちゃんに思われないようにしなきゃ・・・
「サンエイサンキューお疲れ様でした。安らかに。。。」
また遊びにきます。よろしく<(_ _)>

Posted by のん at December 22, 2005 15:28
のんさん
コメントありがとうございます。
オレは「サラブレッドは経済動物だ」という意見は別に否定しません。サラブレッドは走ることしかできないですしね。
サンエイサンキューの場合は、ジョッキーが警告を発していたにも関わらず、走らせて悲劇が起こってしまいました。
要は、防げた悲劇なんです。
最近はこんな使われ方をされる馬はなかなか見ませんね。
うちも犬を飼ってます。
気持ちがわかります。
Posted by よしゆきロビンソン at December 22, 2005 15:46
今までずっと、「たかが骨折でなんで安楽死?」と思ってたんですけど、そういう理由があるんですね。
それだったら苦しむ前に楽になった方が…という意見は賛成です。
私の家で飼ってたネコが夏に病気で死んだんですけど、今でも時々「安楽死させた方がネコにとってはよかったのかな」と思う時があります。
人間の間違った良心が逆に動物を苦しめる事になるのは本当にかわいそうです。
サンエイサンキューに合掌。

Posted by Kタソ at December 23, 2005 00:13
競馬についてほとんど何も知りませんでしたが…

骨折したら安楽死させてしまうんですね。。。
可哀想な、でも仕方ないのか…
ほんとに世の中知らないことばっかです
Posted by ケイコ at December 23, 2005 01:57
Kタソさん
骨折でも剥離とか、ヒビが入るとかなら治せるんですけどね。
蹄葉炎を治せるようになればいいんですが、時間は相当かかるでしょうし、なかなか難しいでしょう。
動物が喋れればいいのにな、と思うときが多々あります。
うちの犬もガンで苦しみながら力尽きました。
安楽死させた方がよかったのかどうか、ふと思うときがオレもあります。


ケイコさん
サラブレッドは早く走らせるために人間が品種改良したんです。
走ることしかできない。走れなければ意味がないんです。
クールに言うとそうなります。
命を賭けて走ってる、その姿にドップリはまったオレです。
やっぱり安楽死は可哀想ですけど、今は蹄葉炎の治療法の発見を待つのみです。
Posted by よしゆきロビンソン at December 23, 2005 09:04