衰弱
「助けてくださーい。」
「Oさん、助けてくださーい。」
「M子ー(伯母さん)!!」
「こんなもん食えるかー!!」
「殺せー!!」
昼夜を問わず、祖母の怒声が響く。
寝たきり老人の声とは思えない。腹から出ていたのではないか?
何度か、通りすがりの人が家のチャイムを鳴らしていったこともある。
母が作った料理を投げ飛ばしたこともしばしば。
また、月に何日かデイサービスなどで施設に宿泊するのだが、その際、ベッドから車椅子に移るときに、暴れてベッドから落ちたこともあった。
車椅子で玄関から出て、庭にいる愛犬ハナを蹴ろうとしたこともあった。
とにかくまあ、やりたい放題だった。
「もう寝たきりやから、どないなってもお母さんには逆らわれへん。昔に比べたら屁ぇみたいなもんやわ。でも、周囲の視線が痛い。それだけは辛い。」
この頃の母の一言である。
でも、母は昔食らった仕打ちについては一切口を開かなかった。
祖母のやりたい放題は家だけに留まらず、施設でもわがまま振りを目一杯発揮していたらしい。
介護の方が施設内での祖母が遊んでいる姿を写真に撮り、見せてもらったが、どれもこれもおっかない顔をしていた。
出された食事も不味いと言う。
でも、実は祖母は食いしん坊である。
結局は空腹に耐えれず、完食。
家でもそうなのだ。
皿をぶん投げた後、しおらしく謝って、再び出された食事を平らげる。
その繰り返しである。
1番印象に残ってるのは、介護の方々が母に同情していたことだ。
祖母は月の半分を施設で過ごすことになったため、母の負担は少しは軽減された。
でも、父と母のいさかいは絶えなかった。
父は不器用な男で、感謝の言葉など、あと一言が足りないのである(こんなとこは血を引いてるボク)。
祖母の世話は母に任せっきりだった。
客からのクレームなどを対応する役職に就いていて、疲れ果て、帰ってきてもすぐ寝てしまうからだ。
会社と家でのいさかいの板ばさみになった父に限界が見え始めた。
不眠症に陥り、下痢が止まらない。ついには声が出なくなってしまった。
「お父さん、もう、ええよ。」
家族は父の退職を勧めた。
ありがたいことに、父を引きとめようと、引っ切り無しに会社の同僚が家に来てくださった。
でも、父は退職した。
「ごめん。」と言い残して。
祖母は枚方の伯母さんのとこに行きたいと常々洩らしていたが、あんな人でなしのところに祖母を渡すなんてことはさすがに出来なかった。
祖父の下の処理を臭いと言っていたような人間に、祖母の面倒が見れるわけがない。
また、向こうも受け入れるわけもない。
金が回ってくればそれでいいのだから。
そんな折、伯母さんが脳の病気で倒れた。
それは嘘なんじゃないかとボクは言ったが、どうやら本当のようだ。
「でも、それがどうした。ほっとけ。」と言ったが、両親は見舞いに行った。
命に別状はなかった。
祖母の状態だけは伝えた。
逆に、祖母には伯母さんの病気のことは伝えなかった。
余計な心配を与えたくなかったからだ。
祖母は2週に1度、輸血をしなければならなかったが、2週に1度では追いつかなくなり、入院することになった。
この頃から、祖母が見る見るうちに弱っていった。
入院したてのころは家にいるときと変わらなかったが、次第にその勢いが薄れ、弱音を吐くようになってきた。
既にガンも併発していた。
ついには、実の息子である父の分別がつかなくなってきたのである。
ボクは父の知り合いの強力なコネを使って、某電鉄会社に契約社員として就職した。
就職から2ヶ月経った頃、祖母が山を迎えた。
そして、2年前の今日。
祖母は86歳で亡くなった。
息を引き取る直前、父の顔を見て、名前を呼んだらしい。
Posted by foe1975818 at 15:26│
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ごあいさつ
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今日命日ってやつですか?
うちの祖母も母の話によると、最近騒いだりするみたいです。
本心なのかはわかりません。
まだ自分にはその気持ちはわからないですが、
寂しさやらから生まれるものもあるのかなって思ったりしてます。
でも見捨てないで、
最後まで見届けるのは当たり前のことだとは思いますが、
ロビンソンさんの話読んで、
大変さがよく伝わってきました。
おれは年とったらどうなるのかな…。
老人は、弱りだすと一気にいってしまいますよね。
我が家の祖母も、文句を言うだけ言って、弱ったとたんに無口になり、
自分の息子、嫁に頼ってました。
最後まで、介護を続けたお母様、本当にお疲れ様でした。
そして、それを見守っていたご家族の方々、本当にご苦労様でした。
今日、命日だったんですか・・・。
お母様、すごい人ですね。
前にされたことを一切言わずに、
そして介護し続けたなんて、とてもすごいことです。
お母様も、お父様も、
そしてそれを見続けたロビンソンさんも、
本当にご苦労様でした。
壮絶ですね…
すごい苦労されたんですね。
お母様だけでなくロビンソンさんや家族の方も大変苦労されたんですね。
今日が命日ですか。
年末年始の死は家族や身内の厄を一緒に持っていくと言われているらしいです。
(無論年末年始だけではないと思いますが)
ご苦労様でした。
うちも嫁姑問題があるよ〜。
弟の嫁がうちのおかんと仲たがい。
おかんはおばあちゃんと長年の抗争。
結婚した当時は伯母さんから壮絶ないじめがあったらしい。
でも救われるのは、根っこはどう思ってるんか知らんけど
普通にすることもできる関係ってこと。
目の前で2世代に渡った戦いを見て、
絶対同居はしないと誓いました。
ひろゆきくんのおかんは偉い。
それだけは言えるし、
介護する人の苦労は計り知れないと思う。
誰にでもできることではないので、
ひろゆきくんがおかんを親孝行せなね。
私もしないとと思ったよ。
過ぎてしまえば後は思い出すだけ…
今日のこの命日のために文章をまとめられるだけ
よしゆき氏の中では消化された出来事なのですね。
お疲れ様でした。
回想できるまでに過去を受け入れられる現状、素敵だと思います。
でも実は、伯母様の件やなんかは、方が付いてないのではないかと余計な心配をしてしまいます。
あ、私 訳あって改名致しました。
今後も宜しくお願い致します
チャムさん
人間、いろいろな老い方があると思うんです。
あくまで推測ですが、その中の1つで「騒ぐ」というものがあるんではないかと。
チャムさんの言うとおり、寂しさや、死に対する恐怖から騒いでしまうんでしょうかね。
もしかしたら自分もそうなるのかもしれないと思うと憂鬱です。
「見捨てたら負け」がオカンの口癖でした。
チカさん
弱ってきても抵抗はしてました。
悔しかったんでしょう。
オレは、物心ついたときからこのような状況だったんで、これが普通だと思ってましたから、それほど辛いとは思いませんでした。
それでも東京へ逃げましたけどね。
イチゴさん
過去にされた酷いこと。
どんなことか知りたい気もするんですが、無理に聞き出す必要もないですからね。
本人が言いたくなったときに、静かに聴いておきます。
Kタソさん
年末年始の死が家族や身内の厄を持っていくというのは知りませんでした。
この数ヵ月後に妹に赤ん坊が誕生したんですが、祖母の生まれ変わりなんじゃないかって言ってました。
すいさん
普通にしてるときが恐い。
その後にやってくるモノが分かってるだけに。
でも、繰り返しちゃイカン。そう痛感する、ひろゆきである。
ん?ひろゆき?
違う違う。
誰やねん、ひろゆきって。
よしゆきです。
夕@rk.さん
母はどうか知りませんが、オレは思い出そうとすれば別ですが、意外と思い出さないんですよ。
どうしてなんでしょうかね。
夕さんの仰るとおり、若干続きがございます。
そもそもそれを書きたかったんでした。
なんでまた、改名を。
なんにせよ、こちらこそ宜しく。
うちは祖母も祖父もなくなりましたが、お後良く逝きました。幸せだったと思います。
ただいなくなってから家は荒れましたね。オヤジが特に。今では僕自身、家族とは母意外と会話を持ちませんからね。
いろんな家族があるもんです。
ギャース!
あと、お待ちの鈴木動画。UPです。
さわっしゅさん
オヤジは、うちも今問題になっててね。
次から次へと問題が出てきよるね。
鈴木拝見に行くよ。