「また後日」と言いながら、早速、書いちゃう。
「駅」と一括りにしても、デカい、小さい、曲がってる、クサイなど様々だ。
デカい駅となると、人通りの多い改札と少ない改札が自然と発生し、人件費削減のため駅員のいない改札も見受けられる。
ボクが勤めていた駅の西口改札には駅員を配置しているが、東口改札にはいない。
時間帯によっては東口にも駅員を配置しているが、そうでないときは東口方面の悪名高き高校生たちのやんちゃな振る舞いが目につき、ボクを楽しませてくれる。
改札がピコンピコン鳴って扉が閉まっているにも関わらず、強引に突破していく。
あるいは飛び越えていく。
これらのさぶい方々の動きは全て監視カメラに映っている。
西口に常駐しているボクは、マイクを通じて
「何しとんじゃ!コラーッ!!」
と優しく声をかけることぐらいしかできない。
上に挙げた例は、そもそも彼ら彼女らが駅に侵入してくるときに、徹底的に取り締まらなかったことにより引き起こされる「犯罪」である。
ボクはそれらを見逃すことが我慢できず、微量の変な汁が滴り落ちるのである。
券売機で子供キップを購入しようとする高校生。
まだ、かわいい。
もう1つ進んだヤツらは子供キップのボタンを押し、その後、身体障害者用のボタンを押す。
要は、半額の半額になる。
初乗り運賃150円のところを40円で降りることが可能だ。
となると、このような悪知恵が働く。
例えば、某終点駅で40円キップを購入し、1番遠い駅まで行く。
降りるときに、「キップ落とした。」と謝罪して通してもらう。
本来なら360円のところが40円で行けちゃうのだ。
ボクのいた駅では、駅員のいない東口の改札に身障者用のボタンのある改札機が設置してある。
西口が暇なとき、ボクは引っ切り無しにカメラで東口改札の微笑ましい動きを観察していた。
誰が、いくらのキップを購入するか、当然、子供ボタン、身障者用のボタンも押すと丸分かりである。
ボクはそんな犯罪を発見した際、券売機の電源を落とす。
うろたえる高校生。
ここからは、その高校生によって違ってくる。
・隣の券売機で普通運賃のキップを買っていくヤツ。
・隣の券売機で、今度は子供用ボタンを押してキップを買うヤツ(そこでも電源を落とす)。
・隣の券売機の呼び出しボタンの押して、「金入れたけど、画面消えた。」と訴えてくるヤツ。
駅員「あのなあ、40円のキップ買ってどこ行くつもりや?」
客「間違えて押してん。」
駅員「間違えて押すようなボタンちゃうやろ。反対側の改札来たら金返したるから取りにおいでー。」
大概は取りに来ないが、稀に図々しく取りに来るヤツもいる。
取りに来る理由として、500円、1000円といった「大金」を投入しているからだ。
取りに来た客には
「カメラに映ってるぞ。気ぃつけや。今度は知らんで。」
と下手に出て、可愛く忠告してあげるのである。
先輩から不思議な話を聞いたことがある。
監視カメラで若い男が子供用、身障者用ボタンを押したので、先輩は電源を切った。
投入金額は¥10000。
一通りうろたえた後、当然、マイクで文句を垂れてくるだろうと思ったら、その男は隣の券売機で普通キップを購入し、立ち去った。
信じられない。
¥10000をドブに捨てたのだ。
まあいい、我が社の儲けだ。毎度ありー。
てなことがあったそうだ。
大阪で姉妹を殺害した山地悠紀夫なんかとは激しく異なり、罪の意識が残ってる、俗に言う、更生の余地があるヤツだったのだ。
これを機に、普通のキップを買う、普通のヒトになってほしいと願うからこそ、駅員は断腸の思いで電源を落とすのである。
オレは楽しんでただけやけど…。
仮に券売機で見逃しても、そのキップを改札機に通すと、改札機が光り、音がなる。
ここで取り締まり、ご同行を願う。
その後は、ボクの仕事ではなく、上の方々の処置が待っている。
その部屋では、どんなことが巻き起こってるのかは知らないし、見たくない。
助役によっては、恐ろしくて…。