よしゆきロビンソンの勝手にしやがれ

先日､バポナの強力なゴキブリ殺傷能力について記した｡
だが､昨日､一部撤去した｡
どうもコイツのせいでﾎﾞｸの体調が悪く(デキモノ類の噴出)なってるような気がしてならない｡
説明書に｢寝室には使用しないで下さい｣との注意書きがあるにも関わらず､ﾎﾞｸは頑としてはっ付けていた｡
それほどまでにゴキブリが嫌だからなのだが､健康を損なっては本末転倒である｡
もちろんバポナで健康を害した(デキモノ類の噴出)という確証はないが､今の状況にあって危険分子は徹底的に排除するに越したことはない｡
バポナを買ってしまった人は､正しい場所にはっ付けていただきたい｡

バポナを撤去して間もなくのこと｡
家のｼｬｯﾀｰを閉めようとしたら､ﾎﾞｸの人生で一番と断言してもよいデカさのゴキブリが､網戸の向こう側の面にお腹側を見せてベチャっと張り付いていた｡
さっきまでのバポナのお陰で､屋内には侵入できなかったようである｡
向こう側におるので､ﾎﾞｸは余裕綽々でゴキブリをデコピンならぬゴキピンをして真っ逆さまに落としてやった｡
ぷぷぷ
そのまま地球の裏側まで落ちちゃいな！
と勝ち誇ったものの､下へ転落したはずのゴキブリが見当たらない｡
まあ､いい｡
わざわざ気持ち悪い虫の姿を拝む必要など､これっぽっちもない｡
ﾎﾞｸの視界から消え去ってくれればようござんす｡

暫くしてﾎﾞｸは､TVを見ながらゴキブリ退治の祝杯を1人で上げていたら､右ｻｲﾄﾞにただならぬ殺気を感じた｡
息を飲み振り返ると､壁に先ほどのゴキブリがへばりついている｡

｢うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!｣

ﾎﾞｸは古典的な悲鳴を上げると同時に､傍にあった新聞を咄嗟に丸めていた｡
ゴキブリも逆にﾎﾞｸの殺気を感じ､ピアノの奥へ逃げ込んだ｡
ゴキブリの姿は確認できているが､新聞でシバきあげるｽﾍﾟｰｽが確保されていない｡
こうなったら殺虫剤にご登場願おう｡
ﾎﾞｸは玄関へﾀﾞｯｼｭし､殺虫剤を手にした｡
殺虫剤のｷｬｯﾌﾟを外しながら､行きの1.5倍のｽﾋﾟｰﾄﾞでとんぼ返り｡
ゴキブリは､まだ同じ場所でへばりついている｡
ﾎﾞｸは左手に殺虫剤､右手に丸めた新聞を手にし､テンパって笑みを浮かべながら殺虫剤を吹きつけた｡
｢シューーー!!｣
ゴキブリはこっちへ出てきた｡
ﾎﾞｸは半狂乱で壁中に新聞をバシバシ叩きつけるも､ゴキブリの音もない逃げ足が勝る｡
ｶｰﾃﾝの後ろへ逃げ込んだゴキブリ｡
そ〜っとｶｰﾃﾝを捲ると､ｶｰﾃﾝにへばりついていた！黒いのが!!

｢●＄∂Θ÷∬!!!｣

100％狂乱したﾎﾞｸは､何語かさっぱりわからない言葉を発しながら殺虫剤をブチまけた｡
しかし黒いのは姿を見せない｡
｢我慢強いヤツめ！｣
こうなったら我慢比べである｡
ｶｰﾃﾝの際に全神経を集中させた｡

……………

1分ぐらい経過したが､ｶｰﾃﾝの際から一向に姿を現さない｡
見落としは考えられないと言い切れるほどに集中していたはずだ｡
恐る恐るｶｰﾃﾝをペロンと捲った｡

ん?
いない｡

消えた…｡
これは大変だ！
気持ち悪くて寝れやない｡
ﾎﾞｸは殺虫剤を短く｢シュッ｣と吹き掛けながらありとあらゆる箇所を捜索したが､小1時間費やしても遂に黒いのは発見できなかった｡

振り返ってみた｡
まず､黒いのがどこから入ってきたかということである｡
網戸にゴキピンをかまして､落ちたはずが消えた｡
ﾎﾞｸは網戸を調査した｡
すると､網戸の網がユルユルになっている箇所を発見｡
ここだ｡
ここから侵入してきたのだ｡
ということは､ゴキブリが脱出したのも､この隙間からと考えるのが妥当だろう(そう思いたかっただけやけど)｡
ではなぜ､ここがユルユルになっていたのか?
犯人は猫の爪研ぎである｡
クソッ！
ﾎﾞｸは今さら猫を叱ることもできず､網戸の網の修復に涙目で取り掛かった｡


健康を害するという理由でバポナを撤去したはいいが､ゴキブリの姿を目にして精神的に参ってしまうな､こりゃ｡