October 18, 2006

鉄の女

作家吉川良(まこと)さんの作品を読むと心が穏やかになる。
週間Gallopに載せておられるわけだが、今週号でイクノディクタスが話題に上っている。
ボクが高校生のときに現役として活躍していたイクノディクタスは、とにかく丈夫な牝馬で、「無事是名馬」はこの馬の代名詞である。

ボクの高校時代の友人にY野という男がいる。
初めてY野が馬券を購入したのは、ライスシャワーがメジロマックイーンの天皇賞・春の三連覇を阻止したレースで、彼はライスシャワーの単勝を手堅くGETした。
俗に言う「ビギナーズラック」の炸裂。
我々が高校3年の春である(高校生は馬券を買っちゃダメよ)。

Y野は返す刀で3週後のG軌妥諜念に挑む。
ボクに購入を頼んだのは3頭の単勝馬券。
単勝を3つ買うなど邪道極まりない愚な行為だが、初心者Y野は頑として受け入れず、「ええからそれを買え!」と大凡人にモノを頼んでいるとは思えないドデカい態度で迫る。
3頭の名は、ヤマニンゼファー、カミノクレッセ、イクノディクタスで、それぞれに¥500つぎ込むのだ。
ヤマニンゼファー(♂)はこの前の年のこのレースの覇者で、この年も押しも押されぬ有力馬。
カミノクレッセ(♂)はこの年不調に喘いでいたが、前年のこのレースの2着。
ここまでは上位を賑わす可能性が大いにある。
問題はイクノディクタス。
16頭立てのこのレースの14番人気。
G気砲覆襪抜蕕鮟个耕毒呂世、「参加することに意義がある」オリンピック精神としか思えない。
しかも、単勝100倍超の大穴で、当然、競馬歴1年のボクの頭からは最初に手拍子で除外された馬。
ボクはイクノディクタスが馬券に絡むことに異議を唱えたのである。

逆立ちしてもこの馬が1着に来るシーンが思い描けない。
もっと言うなら、3着さえも浮かばない。
ボクは、「Y野の許可なしに」イクノディクタスだけ単勝ではなく「複勝」を購入した。
複勝とは3着以内に突入すれば的中の馬券。
配当は安いが、イクノディクタスのような穴馬とならば話は別。
20倍は見込める。

レースは最後の直線でヤマニンゼファーが抜け出した。
その脚色は衰える気配はなく1着濃厚。
2着争いは混沌としていた。
しかも、その混戦に我が本命馬シスタートウショウが外からグイグイと脚を伸ばしてきた。
「ツノダーー!!」
シスタートウショウは女の子の祭典桜花賞を制した名馬であるが、故障発生後は精彩を欠くレースが続いていた。
漸く前のレースで復活の兆しを見せ、ボクはこのレースで勝負を賭けた。
TVの前でジョッキー角田の名を連呼した。

その混戦の2着争いに、内埒沿いからニュルニュルと赤い帽子のジョッキーが加わってきた。
ヤマニンゼファーは悠々1着でゴールイン。
シスタートウショウは僅かに足りず4着。
2着は、その赤い帽子。
イクノディクタスだった!

「何ーっ!!!」

さあ、Y野の馬券である。
ヤマニンゼファー1着により、まずは単勝5.4倍をGET。
Y野が頼んだ馬券ならこれで終わりだが、ボクが勝手に気を利かせたため、イクノディクタスの複勝が転がり込んできたのである。
その配当17.6倍。
即ち、¥2700の的中が、ボクのお陰で¥11500に化けたのだ。
高校生にとってこの差はデカい(序でに言うと、ヤマニンゼファーとイクノディクタスの馬連は690倍の爆穴馬券である)。

翌日の朝。
よゐこ有野似のY野は、登校したボクにしたり顔でニュルニュルと歩み寄ってきた。
Y野「なあ、言うたやろ。ほれ、¥2700くれ。」
ボク「実はな、お前にとっては嬉しい報告がある。」

ボクはイクノディクタスにおける事情を告げた。

Y野「え?マジで。ほんでナンボもらえんの!?」
ボク「¥11500や」
Y野「あーっはっは。やったぁ〜。」
ボク「オレに感謝せえよ。」
Y野「ホンマやなぁ。で、君は外したのかい?ん?ん?」
ボク「外した。もうちょっとやったのに…。」
Y野「なんや、競馬を1年以上やってんのにあんな簡単なレースを外すとはねぇ。」
ボク「くっそ〜。うるさいわ。さっさと消えろ!」


ここで検証である。
一、ボクは気を利かせてイクノディクタスの複勝を買ったわけだが、これは余りにも危険な行為である。
仮にイクノディクタスが1着に突き抜けていれば、ボクはY野に¥50000もの大金を自腹で支払う破目になっていたのだ。
「何が起こるかわからない」は競馬の代名詞である。

二、Y野はヤマニンゼファーの単勝が当たったと喜んでいる通り、ボクがイクノディクタスの複勝を買っていたとは微塵も知らなかった。
したがって、ボクが黙っていればイクノディクタスの複勝分はボクの手元に舞い込んでいたのである。
でも、それはできなかった。
やはりボクは嘘のつけない正直者なのだ。

この告白を神様は御覧になっていたようで、1ヵ月後の宝塚記念でメジロマックイーンとイクノディクタスの馬連一点勝負をGETできた。

たまにはいいことをしてみるもんである。

人として普通のことやけど。
2年前はイクノディクタスが体調不良に陥ったため断念したが、今年は訪問できた。
21b64300.JPGイクノディクタス

その節はどうも

01409215.JPGイクノディクタスの仔馬

母親に負けない丈夫な馬になりなさいよ


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シスタートウショウ

惜しかったなあ!

Posted by foe1975818 at 14:51│Comments(6)TrackBack(0) 過去ロビ | 競馬

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この記事へのコメント
ビギナーズラックほど、怖いものはありませんね。
ご友人も、あまりの出来事に、はまってしまいそうですねぇ。
そういえば、知人の方がロトを購入する時、
隣にいた息子さんが面白半分で選んだ数字が2等!
何故買わなかったのか?といまだに後悔しておりました。
Posted by チカ at October 18, 2006 18:08
チカさん
Y野はのめり込むようなことはなかったですね。
そのあたりはオレと違ってしっかりしてます。
買うつもりがなければ予想すべきではないですよ。
「あーーっ!!!買っておけばよかった!!!」はシコタマ注ぎ込んで外すより後悔しますからね。
Posted by よしゆきロビンソン at October 18, 2006 22:10
ええ話や〜。


ただ俺が矢野さんならロビさんに半分はやってますね。もしくはラーメンおごってます


俺、い〜奴やな〜
Posted by ある契約社員 at October 19, 2006 20:42
ある契約社員さん
山野(仮名)もオレに小遣いとして¥1000やると言ってくれてたのですが、断ったことを思い出しました。
自分で回収すると啖呵を切ってました。
今、半分かラーメンを問われたなら、もれなく半分を選択していますね。
Posted by よしゆきロビンソン at October 19, 2006 21:57
ヤマニンゼファー強かったですね。勝春と善臣でG1を3勝してるのは驚きですね。
>>大凡人
これなんて読むんですか?
Posted by クロフネ at October 22, 2006 13:53
クロフネさん
もう随分経ちますよね。
ヤマニンゼファーも競馬で力を使い果たして子供には受け継がれなかったのかもしれません。
大凡人は「おおよそ人に頼む…」です。
Posted by よしゆきロビンソン at October 22, 2006 16:01