瀬戸内海に浮かぶ大久野島。
小学校6年生時代の修学旅行先である。
誰よりも早く眠りについた友人Mの寝顔がシャレにならんぐらいブサイクだったため、これは修学旅行の記念に残さないといけないということになり、同室だった我々のうちの1人がフラッシュを焚いてカメラに収めた。
「ウ〜、ウ〜ン…。」
と、ブサイク顔を歪めながら苦悶の表情を浮かべたため、我々はどんどん愉快になり、フラッシュを焚いて何枚も写真を撮った。
「ウ〜、ウ〜ン!」
Mが見る見るうちに汗をかき、一層苦しみ始めたため、「そろそろ起こそうか」との意見に達し、
「おい、大丈夫か?」
Mの体を揺さぶる。
ところがそれでも目を覚まさず、うめいている。
大きく揺さぶると、目をカッと開き、ビックリした顔で漸く起き上がった。
一同「どうしたんや?めっちゃ唸ってたけど」
M「は〜、夢か…。」
一同「どんな夢見たんや?」
M「太陽が爆発して、大地震が来た夢見てん」
一同「ウキャキャキャ、なんちゅう夢見てんねん。」
「ちょっと待って?」
誰かが笑いを遮った。
「もしかして太陽爆発ってオレらが焚いたフラッシュのことで、大地震ってオレらが体を揺らしたからなんちゃうん!?」
一同「お〜、絶対そうやで!」
M「おい!お前ら!勝手に寝顔撮んなよ!」
現実と夢はリンクしていることを教えてもらった、意義のある修学旅行であった。
なんでこんなことを思い出したかというと、昨今のインフル患者による謎の転落死や、小学生が飛び降り自殺を図ったことを火曜日のニュースで知り、同じく火曜日20時からのドラマ「相棒」で被害者がビルから突き落とされたシーンが頭の片隅にへばり付いた状態で就寝してしまったため、水曜日朝、ある男が飛び降りる夢を見てしまったのである。
西宮球場近辺を歩いていたボクと友人H、ヒロキジーニョ、ワタロックは、その敷地内にある体育館の屋上に今にも飛び降りようとしているコックの姿を捉えた。
我々は「早まるな!」と絶叫するも、コックはあっという間にダイブ。
コックは鈍い音と共にコンクリートの地面に叩きつけられ顔面が変形したが、何とか歩行は可能である。
ボクは119番よりもまず110番通報すると、待ってましたとばかりに駆けつけた数人の警察官が、顔面が変形したコックを後ろ手に縛って連行していった。
汗だくで目覚めた次第である。
非常に気分悪い。
ボクは追いかけられたり、飛び降りる夢をよく見、その度に汗だくで目覚めるが、他人が飛び降りる夢で目覚めたのはこの日が初めて。
今でもコックの変形した顔が脳裏にこびり付いて離れない。
それもそのはずで、コックに扮していたのが窪塚洋介だったからである。