喜び方を忘れるぐらいに馬券をハズし続けていたが、やっとこさで土日ゲット。
喜び方を思い出すか出さないかの瀬戸際のニヤニヤ運転中に、不当な事故に巻き込まれてしまった。
車でジムに向かっていた時のこと、片側1斜線の生活道路を走行していた。
カーブだらけの見通しの悪い道路なので、この近辺では毎度、20〜30km/h程度の走行を心掛けている。
そのカーブの途中をオジイの操る自転車がゆっくり、それでいてフラフラと蛇行していた。
嫌な予感が過ぎったので、自転車から「約2mも」離れ、尚且つ一層スピードを緩めて追い抜いた。
完全に徐行である。
その時!
自転車が急に右側に斜行し、ボクの車の左サイドに激突してきた。
一瞬何が起こったか判らなかったが、急停車して降りた。
お互いゆっくりと走行していたため、自転車のオジイは倒れず、何食わぬ顔でそのまま蛇行を続けている。
フラフラと近づくオジイに詰め寄り
「危ないじゃないですか、おじいさん。お亡くなりになりたいのですか?コラッ」
を、心持ち巻き舌で、心持ち柄の悪くした言葉で捲くし立てた。
車だん吉似の異臭漂うオジイは
「危ないねぇ。危ないねぇ。」
とリピートするだけ。
その目は完全にイッている。
即座に100%ボケ老人であることは認識できた。
自転車の籠に目を遣ると、青いビニールシートや、汚ならしい空き缶、タバコの吸殻などがギッシリと詰め込まれて、今にも零れ落ちそうだ。
ボケ老人のみならず、家なきジジイなのか。
名前や住所を聞いても
「危ないねぇ。」
どこを見つめているかどうか判別できない目線で繰り返すばかり。
ボケ老人を装っているワケではなく、天然者である。
一方、車の傷はといえば、「左後部」の扉に薄い線がス〜っと入っているが、そないに大きな損傷ではない(友人ヒロキジーニョは「大きな傷やで、これは」と感想を述べていたが)。
頭に血が上っていた状態でボクは思案する。
どう考えてもこっちに非はないが、言うてもこっちが車で、あっちが自転車。
となると「法的には」こっちが罰せられる可能性がゼロとは断定できない。
また、この地域は知る人ぞ知るややこしい地域で、逆に訴えられたりすると事が大きくなり、最終的にボクの会社に知れ渡る。
2年前に会社の車で人身事故を引き起こしてるだけに、これ以上のトラブルは「契約解除」という最悪の事態に繋がりかねない。
で、車の傷は大した事はない。
「泣き寝入り」でファイナルアンサー。
ボクは心が広いのだ。
ただ、一言だけ
「お亡くなりになってしまいなさい。コラッ」
を、心持ち巻き舌で、心持ち柄の悪くした捨て台詞として吐き捨て、ジムへと向かった。
正岡子規似の坊主頭の罵声を聞いた、後方からやってきた車の女性運転手が、若干引いていたように見えたのは気のせいであってほしい。
ジムの帰りに、オートバックスで600円そこそこのコンパウンダーを購入。
会社が休みの明るい時間に隠蔽工作を施そうとしたが、親父が全て処置していた。
もう、パっと見では判別つかないぐらいに研磨しよった。
よって、写真も撮れなかった。
クソッ!
じいちゃんの命日である今日、墓前でそんな世間話を語りかけた。
なんとなく、怒られた気がした。