June 12, 2007

未払い

世の中は年金支給漏れ問題で煮えくり返っている。
今の与党が年金問題に大きな弱点を抱えていたにも関わらず、民主党を始めとする野党は突かなかった。
民主党が急に突っ込み始めたのは、確実な「裏」が取れたからである。
「永田議員と同じ轍を踏んではいけない」
あのときの教訓が生き、石橋を叩いて叩いて渡って、与党を死に体寸前に追い遣っている。
勿論、目前に控えた参議院選挙を意識してこの時期に猛追及を始めた側面も考えられる
(折角与党を追い込んでるのに、さくらパパを擁立したりするところが民主党の詰めの甘いところだ)。


ボクがまともな職業に就いた28歳以降は会社が厚生年金を処理しているが、28歳までは国民年金を払っていたことになる。
ぶっちゃけた話、びた一文払っていない。
「返ってくる保証のない金なんか払わんでええ」
親父の鶴の一声ならぬ、ツルッパゲの一声に押され、東京で独り暮らしをしていた時期は国民年金の支払いをシカトし続けた。

何年も経ってから社会保険庁に
「払ったのに年金額少ないやんけ。」
などとヤクザな要求は致しません(当たり前だ)。

支払いを意識的に滞らせていたのは国民年金だけに留まらない。


大学を卒業してすぐ、南武線(武蔵野線)の府中本町駅から歩いて1分とかからない陳腐な2階建てマンションの1階に住処を構えた。
4畳半ほどのキッチンと6畳の和室からなる1Kの間取りである。

引越ししてきて1ヶ月経過しても依然としてバイトもせず、預貯金を吐き出すだけの生活でブラブラしていた。
そんなある夏の昼下がり。
大阪に負けず劣らず暑い。
でもまだ7月。
この時期でクーラーを安易に使用していては8月が思い遣られる。
窓を全開する原始的な方法で涼んでいた。
向かいにはこちらよりも小マシな2階建てマンションの通路が視界に入る。
その通路を眼鏡を掛けてスーツを纏ったある若い男性が渡り歩いていた。
インターホンをプッシュしながら歩いている状況から、ピンポンダッシュではなく、何かしらの訪問であることは推測できた。
クソ暑いのにご苦労さんなことだ。

目が合った。
若い男はなかなか視線を外さない。
上半身裸のボクは瞬時に危機感を募らせた。
そっち系か!
若い男はニヤリと不敵に笑って身を翻し、歩いてきた通路を戻っていった。
そっち系に足を踏み入れる勇気も予定もないボクは背すじがゾクゾクした。

5分と経たないうちにインターホンが鳴り響いた。
引越しして初めての訪問客だ。
東京には友だちもほとんどおらず、喋ることもなく顎の筋肉が衰えていたボクにとっては渡りに船。
話し相手には丁度良いだろうと、T-シャツを被り、覗き穴から確認することなくドアを開けると、向かいのマンションをほっつき歩いていたそっち系の男がさっきの笑みを浮かべて立っていた。
鳥肌が立った。

「何ですか?」
ケツの穴を思いっ切り締めつつ尋ねると、
「NHKの者です」
安心して大きく息を吐き、ケツの穴はうんこさんが飛び散ってもおかしくないほどに拡張した。
しかし安心はほんの一瞬で徴収された。
「受信料の徴収でお伺いさせてもらったんですが…。」
来た…。
躊躇もなくドアを開けたことを心底後悔したが、直ぐに、こちらには一銭も払う意志がないことを告げる心構えに入る。
気合が入ったせいか、またもやケツの穴は締まり始めた。

「うちにはTVがないんですよ。」
定石通りの返しだ。

「いやあ、先程TVがあるのが目に入ったんですが…。」
そうか!
さっきボクと目が合ってニヤついたのは、そっち系だったからではなくTVの有無を確認できたからか!
思わぬ反撃でうろたえたボクの口から出任せで返した台詞が

「ああ、あれですか。あれはTVに見えますけど、TVの形をした置物です。」

しんどい。
今年の流行語大賞に輝いてもおかしくないナントカ還元水と双璧を成す、しんどすぎる弁明だ。
何の置物だというのだ。
恥ずかしすぎる。

2,3秒の沈黙の後、男は黙ってドアを閉めた。
まさか通用したのか!?
いやいや通用するはずなどない。
きっと瞬時に、脳みそがクラッシュした痛いヤツとジャッジされたのだろう。
何となくニヤついていたし。

その日から、インターホンが鳴動してもボクが玄関扉を開けることは決してなかった。
それは受信料の支払いを拒むなんてチンケな理由ではなく、再びあの男が訪問してきた場合、恥ずかしさで真っ赤に染まった顔を見られることを避けたかったからである。

結局、払ってへんけど。
Posted by foe1975818 at 00:28│Comments(8)TrackBack(0) 過去ロビ 

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この記事へのコメント
国民年金はもう払えないですよね・・・。気分的に。

俺も、少しだけ未払いっつうか免除してる分があるんですが、気分的に、もう払えません。

オヤジさん先見のメイありですね。競馬は・・・のようですがw
Posted by ある正社員 at June 12, 2007 03:08
NHK受信料、一度も払ったことないです。
最近ではアポなしピンポンは無視しちゃってますが、
昔は集金に来られる度、恥かしながらあたしも
「TV無いんです」って言ってました・・
「・・TVの音が聞こえてますけど」と言われたら「あれはラジオです」と言い、
「それTVですよね?」と指摘されれば「いえ、電子レンジです」と言い、
かなり集金人泣かせだったかもしれません・・・。

年金問題もお先真っ暗ですね。せめて長生きして元を取らなければ・・
Posted by のほほん at June 12, 2007 03:22
ある正社員さん
知り合いが勤めている某保険会社の個人年金だかなんちゃらは払ってます。

競馬は手酷いですわ。
日曜日に万馬券を炸裂させた親父とはえらい違いです。
今日明日と園田で頑張ってきます。



のほほんさん
「TVない」は常套手段ですね。
「とりあえず今月分だけ払ってください」には「持ち合わせがない」。
ですが、「電子レンジ」はなかなかやりますね。

最近は手の込んだ徴収詐欺もいますから、訪問者には疑ってかかるぐらいの方がいいでしょう。
自分の身は自分で守らないと。
Posted by よしゆきロビンソン at June 12, 2007 07:20
東京で友達と暮らしてたときNHKの人が来たんで
受信料を支払ったら友人に叱られました。・゚・(ノд`)・゚・。

最近、年金の催促をしに社会保険庁の人が納付書の束を持ってきました。
でも支払ったはずの健康保険料が入金の記録がないので確認してくれと
連絡があったばっかりなので、払っても忘れられちゃうんじゃ?
って疑問が拭えませんね。

支払った証拠はちゃんとに残してあるんだからっ!!!

Posted by panda at June 12, 2007 10:25
 永田議員、懐かしいですね。あの一件で堀江貴文と自民党の関係に迫れなくなってしまったんですよね。

 年金問題と平行して、松岡元大臣の裏金問題の追及も忘れずに、とも言いたいですね。
Posted by ラガル at June 12, 2007 23:40
私も、1人暮らしのときはナゾの訪問者とよく闘いました。

・あるときは、NHK。
 引越し前の住所と現住所を2重の支払い要求された。(コイツはアホか?)
・あるときは、水道の蛇口の先っちょメーカー。
 夜中23時に交換に来やがった。(ハサミ持ってドア開けた。)
・あるときは、ケーブルテレビのアンケート。
 ‘アナタが気に入りました。他の仕事が終わったら、また来てもいいですか?’などとほざく意味不明なオトコ。(どういう思考回路してるんだ?)
・あるときは、布団のクリーニング。
 クリーニングのセールスならまだしも、布団を見せろと部屋に上がりこもうとした。(名刺の電話番号に即TEL。)

ちなみに、年金を少し前まで完全シカトしてました。
でも、督促(催促?っていうの?)が余りにもしつこいので、来年分まで一括で払いました。

どいつもこいつも、‘しつこいオトコは嫌われる’と知った方がええで。
Posted by LO♪ at June 13, 2007 00:27
pandaさん
皆さん払ってないもんですね。
まあ叱るのは行き過ぎだとは思いますが。
社会保険庁や、税務署は申告漏れには煩いくせに、自分らは疎かになっていたなんてどういう心理なんでしょうね。
しかも催促には足を運ぶくせに、今回のような自分たちのミスでは「電話を掛けてください」とか「社会保険庁まで来てください」と受け身ですからどうしようもないです。



ラガルさん
耐震偽装の件も安倍氏が絡んでるとかでしたが、結局、姉歯が全てを被ったみたいな感じですし、松岡の件、本人が死んだからって追及の手を緩めないでほしいですわ。
Posted by よしゆきロビンソン at June 13, 2007 22:06
LOさん
徴収する側も、きっちり調査してから訪問してほしいですね。
ましてや23時に訪問するなんて言語道断ですし、布団を見せろと上がりこもうとするなんて警察沙汰ですよ。
よく凌ぎましたね。
下関の本村さんの奥さんと赤ん坊は訪問者によって惨殺されましたから、女性の独り暮らしは特に注意が必要です。
「しつこい男」と「熱意のある男」は紙一重ですが、仕事中に私的な行動を起こすのは論外。
Posted by よしゆきロビンソン at June 13, 2007 22:17