February 14, 2009

鬼のイヌ間に

ボクの家は(と言ってもボクが購入した家ではないけど)駅からほど近く、徒歩にてたったの5分。
但し、駅から近くといっても昼間でも人通りはさほど多くはなく、道も狭い。
日が暮れた時の不気味さは、ひったくりや空巣が続発している事実から想像していただきたい。

うちの裏手に住んでいるKさんは80歳を超えた非常に品のあるお婆さん。
例に漏れず空巣に侵入された体験をされていて、今は息子さん夫婦と隣同士に住んでいる。
空巣対策として投入された刺客が雌の柴犬「サチコ」。
今年でまだ2歳。
残念ながら人懐っこく、番犬としての役割はどうやら果たしておらず、まだまだ青二才である。

友人HがプラズマTVを25万円で口説き落とした翌日の夕方。
夜からの勤務に備え、ampmで愛読書「週刊GALLOP」を購入して帰宅すると、辺りをきょろきょろしながら我が家のインターフォンをプッシュするKさんの姿がそこにあった。
「どうしたんですか?」
「犬がいないんよ。」
今にも泣きそうな顔で訴えてきた。

サチコをいつも繋いでいるポールが引き抜かれており、鍵代わりに用いていた檻の鎖も解けていたというのである。
かわいいサチコを掻っ攫ってどこかに売り出そうとしているのか意図は不明だが、これは明らかに人為的である。
ボクは仕事そっちのけで、丁度買い物から帰宅した母親と捜索にあたる。
三流刑事ドラマのホッと一息つく7話目あたりに設定されていそうな話である。

が、ドラマのようにナイスなタイミングで見つかることはなく、サチコはボクによって捜索2分足らずであっさり発見される。

遠くへ逃げてしまったのではないかと遠方へと目を向ける2人をよそに、ボクはKさん宅の裏手に鬱蒼と生い茂る雑木林へと足を踏み入れる。
敷き詰められた落ち葉が不自然に小刻みなザサザサという音を立てる。
そ〜っと近づくと、間の抜けた顔でこちらの様子を窺うサチコの姿。
ボクはサチコとは「面識」がなく、近づいて逃走されるのは避けたいし、何より犬に内腿をかぶられた痛い経験を持つ「人んちの犬恐怖症」を発症しているので、顔見知りの母親が名を優しく呼びながら慎重に近づいて捕獲。
借りてきた猫のよう大人しく抱っこされたサチコは、無事、怪我もなく飼い主の手に戻された。

恐縮するぐらいにKさんに感謝された。
人の役に立つという、況してやそれがお年寄りならば、社会に貢献したような気持ちになって、決して気分は悪くない。
この「事件」はこの近辺特有の「村気質」から、数時間で瞬く間に広まり、今や知らぬ者はいない。

ただ懸念しなければならないのは、この手の動物に危害を加えるという兆候は、人に危害が、即ち殺人事件が勃発する傾向を示している。
この数ヶ月は気が抜けない。

ところが足元を掬われた。
サチコ捕獲するという大役を終えた母親が病に倒れたのである。

Posted by foe1975818 at 00:33│ 最近