20歳以下の若い諸君が、サッカーW杯の決勝トーナメント進出を果たした。
頼もしいではないか。
ワールドユースと言えば、小野、高原、遠藤、小笠原、中田浩二、稲本(不調で途中交代ばっかりやったが…)の超豪華タレントを有したあの世代。
大学を卒業し、上京の仕度を整えていたボクは、何気に点けたTVに映し出された彼らの優雅なサッカーに釘付けとなった。
小野を攻守の中心に据え、小笠原は開催地ナイジェリアの暑さにも負けず無尽蔵のスタミナでピッチを縦横無尽に駆け回る。
遠藤はピンチの芽を逸早く摘み、高原はエースストライカーとしての素質を如何無く発揮。
左サイドは本山の支配下と化した。
ゴールキーパー南はスーパーセーブを連発。
与えられたポジンションをバランスを崩すことなく絶妙のタイミングで入れ替わり、相手チームのマークをヒラリとかわした。
惜しくも準優勝に終わったとはいえ、その試合のほとんどをNHK-BS1で観戦したボクは、彼らの活躍にウキウキした。
「彼らが日本のA代表を牛耳ることになれば、マジでW杯を優勝できるんじゃないか?」
そんな錯覚さえ起こした。
(本山が今一伸び悩むとは想像だにできなかった…。)
サッカーで最も胸が熱くなったのは、やはり日本がフランスW杯初出場を決めた試合に限る。
イランに先制されるも、城のヘディングシュートで同点に。
三浦カズの「オレ?オレ?事件」もあったな。
延長戦。
中田英寿が左足で放ったシュートのこぼれ玉を、野人・岡野がスライディングシュートでゴールデンゴールを決めた。
喜びすぎて両手を上げて吠える岡野は紛れもなく野人と呼ぶに相応しかった。
ジャージ監督の岡ちゃんこと岡田監督も両手を上げてピッチへとダッシュで流れ込んだシーンは、今、思い出しても胸が熱くなる。
ところで、この試合は試合前から一悶着あった。
相手イランのアジジ選手が練習中に脚を痛め、練習場から車椅子で運び出されたのだ。
アジジはアジア最優秀選手に輝くなど、イランの主力も主力、大主力。
彼が大一番に出場できないとなると、日本にとっては強烈な追い風となり、W杯初出場に大きく前進する。
ところが、日本戦には平然と出場。
ピンピンしていた。
大怪我は大嘘だったのだ。
「相手を油断させてまで勝とうとする。W杯はそれほどまでに大きな存在なのか」と思い知らされたと同時に、その姑息な手段を採るイランチームに苛立った
当時のイランの監督を務めていたブラジル人のビエイラ監督が、今、北信越1部リーグの「ACパルセイロ長野」の監督に昨年6月に就任している。
彼が「アジジ車椅子事件」について、読売新聞で激白していた。
日本戦前に同僚と喧嘩をおっ始めたアジジ。
トラブルを巻き起こしたアジジを、イランのサッカー協会が強制送還させようとした。
彼が抜けられると試合にならないと危惧した監督は、内紛を表面化させないためアジジが負傷したことにし、アジジを車椅子で練習場から退場させ、一先ずその場を繕うことにした。
ただそれだけ。
これが真相である。
日本を騙そうとかではなく、苦肉の策だったのだ。
監督が仕組んだ嘘に翻弄されたのは日本の報道陣。
新聞紙上では様々な憶測が飛び交う。
だが、翻弄されたのは報道陣のみで、選手たちはW杯初出場を決めた。
相手どうこうよりも、自分たちのサッカーができるかどうかなんやね。
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