December 12, 2006

サヨナラCOLOR

街は徐々にクリスマス色を醸し出してきた。
ボクの隣家は青や赤や黄色の派手な電飾で、人通りの少ない暗い夜道を無償で照らし出してくれている(そういう目的ではないのだろうけど)。
金持ちは違うねぇ。

日曜晩は道路が意味不明なまでに混雑していた。
ジムのあるカルフールの駐車場から脱出するのも一苦労だったのに、追い討ちを掛けて帰り道も無駄に時間を要し、ちっこい車を運転中のボクはイライラを隠せなくなってきた。
駄目を押すように開かずの踏み切りで引っ掛かり、足止めを食らった。
ボクの冷静という名の防波堤は遂に決壊した。
「ん〜!!!」
ブレーキを踏む足とは逆の足で地団太を踏み、気づけばハンドルに噛み付いていた。

ふと左に目を遣ると、半年前に立ち上がったばかりの美容院。
店の中のドア付近でお店のお姉さんがサンタさんの格好でホウキを持ってお掃除中だ。
そろそろ店を閉める時間でもある。
注目すべきは、高が美容院のくせにサンタの衣装のスカートが短い。
もしかしたら美容院風の卑猥なお店が立ち上がったのかと思い、お店の看板を確認したが、どうやら普通の美容院のようである。
セクシーサンタは道路側にケツを…失礼、お尻を突き出してホウキで掃いてるので顔は確認できないが、後ろ姿だけで充分いける…失礼、かわいいのは容易く想像できた。
嫌々着させられてるのだろう。
店長に物申すが、客足が遠のいてるからといって、お色気で客寄せに走るとは見込みが甘すぎる。
そんなもんで客は来ない!
本職で勝負せんかい!!

暫くすると、セクシーサンタはホウキでかき集めたゴミをちりとりに入れようとしていた。
ところが、ゴミが上手いことちりとりに入らないのか、前屈みでゴミを掻き入れ始めた。
同時にセクシーサンタの両のおみ足が徐々に顕わになってくる。
ちょっとちょっとちょっとちょっと、サンタの衣装の下は生下着か!?
これは少し早くて、靴下なんて用意しなくていい大人なクリスマスプレゼントのお出ましだ!
申し訳ありません!店長!あなたを見縊っていました!
なんて素敵なお店なんですか!!
本業なんてどうでもいいですよ!!
ボクの目線はセクシーサンタの黒の網タイツに包まれた太股に釘付け。
視力1.5で産んでくれた、お父さんお母さんありがとう!
「もっと前屈せえ!」
セクシーサンタにメンチを切らんばかりに念じながら、より一層強い力でハンドルに噛み付いた。
口内の何かが決壊し、涎も垂れてきた。
ほとんど獣である。

「ファ〜ン!!!」
後ろの車に思いっきりクラクションを鳴らされた。
どうやら開かずの踏み切りはとっくに開いていたらしい。
「ウワ〜ン!!!」
ボクの涙腺は決壊し、ハンドルに噛み付いたまま号泣。
泣く泣くちっこい車を発進させた。
瞼にワイパーを下さい。

坊主のボクが美容院を訪れても門前払いされてしまうので、これからクリスマスまでその時間帯だけこの美容院の前をうろついてやろうかな。
それとも店の前にプレハブでも建てたろかな。
今年のクリスマスは楽しめそうだ。

110番通報しないでね。  

Posted by foe1975818 at 22:25Comments(11)TrackBack(0)