July 04, 2007

ナイス橋本

「6/29にコンパがあんねん。会社の同僚が不憫なオレを見かねて出会いの場を設けてくれたんや。」
電話の声の主は友人ヒロキジーニョ。
「おお、ええやん。楽しんでこいよ。」
「それがな…。」

誘ってくれた同僚には歴とした彼女がいる。
ヒロキジーニョはその点に引っ掛かったようである。

ヒ…「彼女がおるのに、コンパに参加するという神経がわからん!」
よ…「別にコンパぐらい構わんやんか。乱交コンパやないんやろ?」
ヒ…「それはそうなんやけどな。でもそいつな、コンパに呼ぶメンバーの1人と既にキスしようとしたんやで。」
よ…「未遂に終わってるんなら問題ないやんけ。女子中学生みたいなことを言うなよ。」
ヒ…「いや、やっぱり許されへん。それにオレのためとか言うてるけど、結局は自分がオイシイところを持っていくつもりやアイツは。そんでな、この誘いを断ろうと思うねん。」
よ…「なんでそうなんねん?ヒロキさんのために声を掛けてくれたんやで。勿体無い。参加するだけ参加して、今一乗り切れかんかったら途中退場したらええやん。知らん人間と触れ合うのは絶対にマイナスにはならんし、ヒロキ好みの女の子がおったらどうすんねん。それに毎日うわ言のように『彼女が欲しい』って呟いているくせに、自ら出会いを放棄するとは矛盾しまくりやな。」
ヒ…「そういう問題じゃないねん。やっぱり断る。オレは曲げたくないねん、信念を!」

し、し、信念!!
ボクはその言葉を聞いて胸に手を当ててみた。
土曜競馬だって、あれほどまでに固く誓った3連複戦法をあっさりと反故にし、結局は儲け損なった。
そうなのだ、自分には信念など皆無。
所有していたとしてもあっさりひん曲げてしまう最低な流され男だ。
ボクも含めた軟弱なフニャチン男どもを始め、個性の乏しい人間ばかりが蔓延る現代社会において、今や多少古臭い扱いを受けてしまっている「信念」をここまで頑なまでに貫く武士がこんな身近に存在したとは!
忘れていたよ、大事なものを!
思考マグロのボクにここまで激しい刺激を与えるとは、まったくとんでもない電話を寄越してきやがったものだ。
胸に当てた手がいまだに震えているではないか。

よ…「ヒロキさんよ。狭心症かと勘違いするぐらい胸に響いたぜ。ただのマイナス思考おっさんだと君を侮っていた。悪かった。すまぬ。君の『信念』を大いに尊重する。よし、胸を張って断ってこい!」
感動したボクは涙声を悟られぬように、精一杯の低い声でヒロキジーニョに言い放った。


6/30。
ヒロキジーニョから電話が入った。

ヒ…「コンパに行ってきてんけどな…。」
よ…「ちょいちょいちょいちょい待て待て!貴様、今、何をサラっとぬかした?」
ヒ…「だから、コンパに行ってきてんけどな。」
よ…「お前、彼女おるのにコンパする奴は許されへん言うて、断ったんちゃうんかい!」
ヒ…「いや、あれから考え直してんけど、よしゆきの言うように提供してもらってる出会いの場をわざわざ門前払いにする意味はないと思ってな。」
よ…「信念はどうした!」
ヒ…「信念?そんなん言うたっけ?」
よ…「はっきり言うたやんけ。オレはどれだけ感動したか!」
ヒ…「信念を変幻自在に変えるのがオレの信念やねん。」

コンパは極めて低調に終わったとのこと。  

Posted by foe1975818 at 23:59Comments(7)TrackBack(0)