August 12, 2006

墓場

「いじられキャラ」は、集団の規模の大きい小さいを問わず、必ず1人ぐらいはおるのではないだろうか?
ボクの友人H田が、それに該当する。

中学3年時に同じクラスになり、今でも交友関係が続いているのは、このいじられキャラが巻き起こした事件のお陰であると言っても過言ではない。
以下のお話は友人H田をご存知ないと笑えない可能性を大いに秘めているが、ご存知な方に向けて改めてお送りする。

中学3年だった我々。
当時、流行っていたのはスーパーファミコン、略してスーファミである。
クラスでファミスタ大会なども催されたりもしたが、その延長で「信長の野望 武将風雲録」を4人でやろう!とあいなった。
群雄割拠の戦国時代の大名を1人チョイスし、天下統一を目指すシミュレーションゲームである。
織田信長、武田信玄、上杉謙信、毛利元就etcの超有力大名を我々の思い通りに動かすことができるが、我々4人はそんな強豪国をプレイするようなまともな人間の集まりではない。
U村は今川義元(静岡県辺り)を、Mは足利義輝(京都府辺り)を、H田は浅井長政(滋賀県辺り)を、ボクは尼子晴久(島根県辺り)を選択した。
プレイするのは基本的にU村宅か、H田宅である。

ゲームは順調に進み、自分たちの国も資源が富み、兵も増強してきた。
あるヤツは早くも隣国を攻め、領土を拡大させる。
あるヤツは虎視眈々と隣国の様子を探るために忍びの者を放つ。
あるヤツは飢饉にやられ、兵糧確保のために田を耕す。
ボクは日本海側を東へ東へと領土をとっ替えていく。

ある日、H田が用事で参加できないとヌカしてきたので、代役でF坂がH田の分を1日だけプレイすることになった。
F坂は、このゲームには参加していないが、一緒に家に来たりしてよく我々のプレイを観察している。
よってゲームの要領は得ているので代役でも問題はないし、H田から「領土を拡大せず、富国強兵に努めてくれ」と伝言を受けていた。

しかし、F坂はやりすぎた。
このゲームで一番ツマらない富国強兵に飽きてしまったF坂は、何を血迷ったか、同盟を結んでいる隣国の織田信長の国へ、我々の静止を振り切って忍者を送り込んだ。
織田信長とは同盟を結んでいるため、忍者など送り込むのは全く意味のない行動である。
どうせ情報を得ることなくスゴスゴと帰ってくるだけに決まっている。

だが!
送り込んだ忍びの者が、あろうことか向こうの国でとっ捕まった!!
これは100回に1回くらいしか発生しない最悪のケースで、しかも、送り込んだのがこの浅井長政の国で最も戦闘能力の高い海北綱親である。

F坂以外の3人…「ハッハッハ!おいおいおい!帰ってけえへんやん。」
F坂…「ハッハッハ!捕まってもうたな!こんなことってあるんやな。」
F坂以外の3人…「笑ってる場合ちゃうぞ。ヤバいって!!あいつキレるで…。」
F坂…「大丈夫やって。あいつ気づかへんて。」
F坂以外の3人…「そうやな。なんとかなるやろ。」

次の日、我々は順調にゲームが進行したことをH田に告げ、H田は安心した表情を浮かべた。

数日後、H田宅で続きをプレイすることになった(容疑者F坂も来た)。
H田…「あれ?」
他4人…「ど、どないしたんや?」
H田…「いや…、オレのとこにおった海北がな…。おらんねん…。」
他4人…「え?そんなことないやろ。」
H田…「いや…、あれ?おらんで。」
ボク…「あっ、思い出した!お前が信長のとこに忍者で送ったときに捕まったんやんけ。」
他3人…「そうやそうや。」
H田…「えっ?そうやったっけ?」(笑いをかみ殺す他4人)
F坂…「何言うてんねん。お前、悔しがってたんやんけ。ギャー!言うて。」
他3人…「そうやそうや。」
H田…「そうやったかなあ…。」(笑いをかみ殺す他4人)
U村…「気にすんなって。まだ始まったばっかりやんけ」
他3人…「そうやそうや。」
H田…「そやな。」(笑いをかみ殺す他4人)

上手く誤魔化せた。
いや、H田はアホだ。

この後H田の国は、見る見るうちに衰退していく。
他3人は罪悪感に苛まれ、米や金を援助したが、遂には他3人とは全く関係ないコンピューターの操る国に攻め込まれたりしだしたので、兵も援助していた。
懸命に防ぐ彼の姿に感動すら覚えたが、彼は遂に力尽きた。
息の根を止めたのは友人Mだった。
「もう、ええやろ!?」の言葉とともに…。
亡き者にされた後も、H田宅で信長の野望をプレイするH田以外の3人。
図々しすぎる。


そんなアホなH田が先日、結婚した。
今晩、数人で祝杯を上げることになっているので、その場を借りて白状するつもりである。
おめでとう。
そしてごめんなさい。
そして、そして、ありがとう。  

Posted by foe1975818 at 11:23Comments(0)TrackBack(0)