August 20, 2007

ヒップ・リターン

バイク走行中、中央分離帯に接触して膝下10cmから切断していたことに気付かず2kmもバイクを走行し続けていたという俄かに信じられないニュースが報じられていたと、ヒロキジーニョが目を丸くしながら伝えてきた。

巷でよく耳にするのは、「何かに夢中になっているときは痛みを感じない」。
スポーツ選手では顕著ですな。
その事件の当人である54歳のおやっさんも楽しいツーリング最中だったので分からなかったんだろう。


数年前から腰痛を抱えていたボク。
一昨日から痛みが増してきたなと危惧していたら、昨晩、仕事からの帰宅途中で痛みがピークに達し、前屈みで散歩中のジジイのようなトボトボ歩きで家に辿り着いた。
腎臓結石でお世話になっているI市民院は泌尿器科の先生しか当直がおらず、T病院を紹介してもらった。
格好はブサイクだが辛うじて歩行可能なので救急車を呼ばず、オカンに運転を依頼し、夜間病院に急行。

ここの先生は整形外科ではなく外科だったようなので、寝た状態で足を上げたりしてヘルニアかどうかを看る、軽い診察しか施してもらえなかった。
「整形外科担当が勤務している火曜日にまた来てください。では薬を出しておきます。」
そのまま終わりそうな雰囲気だったので、
「先生、とりあえずこの痛みを今だけでいいんで、すぐ引かせてほしいんですわ。」
と縋ると、
「それじゃあ、一発放り込んどきましょうか。」

座薬のお出ましである。
ご無沙汰しております。
軽く一礼。
座薬さんとは、あの時以来だ。→ゴールドフィンガー

当時は残酷なる「裂け痔」を発症した。
そして今回が「腰痛」。
下半身ズタボロ…。

眼鏡をかけた若くてかわいい看護婦さんが
「お1人でできます?お手伝いいたしましょうか?」
顔を覗き込んできた。

「ええ、お願いします!」

言わない言わない。
誰が頼むか!
「入れることはあっても入れられてはイカン!それが男ってもんじゃないのかい?」
自分に対して浪花節を炸裂させ、
「いえ、自分でやります。」
京本政樹風の流し目で返答。
でも姿勢はジジイそのものだ。
それにあんなにかわいい看護婦さんが股間に肉薄しようもんなら勃起は免れず、別のお手伝いを依頼しなければならなくなる。
というか既にアルデンテ勃起を発症していたのだ(コラコラ)。

隣の部屋で1人になる。
本当は歩くのも辛かったはずなのにいとも簡単にウンコ座りできたのは、お手伝いを拒否した意地もあったのだろう。
しゃがんだ時に少し便意を催したが、兎に角、早く放り込んで痛みから解放されたい。
でもこの便意が曲者だったのだ。
痔の時はあっさりぶち込めたのに、今回は肛門括約筋の神懸かり的な活躍により拒否された。
へこたれるわけにはいかず、何回も何回もトライ。
でもその度に座薬さんが鳩時計のようにヒョッコリヒョッコリ顔を出してきやがる。
座薬はヌルヌルし、若干ではあるが溶けてきた。
早くしないと看護婦さんが心配して入室してくるではないか!

最後の力を振り絞ってグイっと押し込み、座薬入れの権威である親父のレクチャーを思い出し、ムクッと立ち上がると、肛門ちゃまは遂に座薬さんを受け入れてくれた。

洗う前に手を軽く臭ってみた(アホだ)。
鼻に届いてきたのは、やっぱりあの臭いだった(当たり前やろ)。
水量を最強にし、指紋が消えかねない勢いで手を洗浄。
ハンドソープのピストンは何度シュコシュコさせたか判らない。

そして入ったはいいが、次は強烈な便意が襲ってきた。
今、うんこを漏らしてしまうと(漏らさんでええやろ)、肛門ちゃまが「待ってました!」とばかりに茶色に変色した座薬を吹き飛ばすだろう。
ここは忍耐力が試される。

命からがら部屋を出て、
「何とか入ってくれました。」
メガネ看護婦さんにピースサインで告げると
「長かったので心配してたんですぅ。」
ハニカミながら答える。
キュ、キュートすぎる!

「ボクに座薬を入れてくれないか?」
プロポーズしてしまいそうだ。

「お薬は3本です。お大事に。」
薬を手渡す彼女の左手薬指には、リングが控えめな光を放っていた。

ボクは前屈みで散歩中のジジイようなトボトボ歩きで病院を後にした。  続きを読む

Posted by foe1975818 at 23:03Comments(7)TrackBack(0)