July 20, 2006

記憶と思い出

「明日の記憶」という映画が公開されていた(今も公開されてるかな?)。
若年性アルツハイマーを患った渡辺謙演じる佐伯雅行と、樋口可南子演じる妻・枝実子が夫婦でこの病気に向き合う作品のようだ。
うちの両親はこの主人公の世代でもあり、作品を鑑賞し、涙した。
ボクはまだ鑑賞するに至ってないが、観なくてはならないのではないだろうかという気になってきた。
というのも、最近、物忘れが激しい。
その事を考えると、自分が確実に老いてきていることを切実に痛感し、少々憂鬱である。

最近、このブログ内で頻繁に登場している友人ヒロキジーニョ
ヤツはボクより1つ年上の同級生であるが、ボクの数倍もの猛スピードで老い、ボケてきている。
冗談抜きで深刻である。ホンマに。

ヒ…「石原軍団のトップの…誰やったっけ?あの、キムタクとCM出てる人。」
どうやら渡哲也が出てこないようである。
ボクはすぐに分かったが、ヤツのことを思い、自力で思い出させるように仕向けた。
よ…「おいおい、軍団の総帥が思い出されへんて重症やぞ。」
ヤツはまだ呻いている。
よ…「兄弟で役者やってるやろ?」
ヒ…「そうそう。え〜っと…。」
イライラしたボクは決定的なヒントを与えた。
よ…「弟の名前が渡瀬恒彦。」
ヒ…「そうそう。あっ!え〜っと『ワタシ』…。」
ボクは魂消た。
よ…「『ワタセ』まで伝えているのに、この期に及んで『ワタシ』やと!?」
ヒ…「あっ!違う違う。『ワタリ』テツヤや!ハッハッハ。」
よ…「頼むわ、ヒロキさん。笑ってる場合ちゃうぞ。悲しすぎるやんけ。」


暫くすると、またヤツは呻きだした。
よ…「今度は誰や?」
ヒ…「あのヒョロヒョロの…。」
よ…「それだけではヒントが少なすぎるわ。男か?」
ヒ…「そう、男で、お笑いやねん。」
よ…「そんなヤツ仰山おるからなあ。」
ヒ…「そうそう、えっと、あの…。」

よしっ!どうやら自力で思い出しそうだ。
友人Hとボクは顔を見合わせ頷き、固唾を飲んでヤツの呻きを見守った。

ヒ…「片割れの名前が矢部で…、えっと、ほら、あの…ジュウドウカ?違うわ、ケンドウカ?」

よ…「えっ!!!まさか!!!『カラテカ』か?」
ヒ…「ウハハハハ!!それそれ!!」

そこにいたヒロキジーニョを含む3人の成人男性は、目に涙を浮かべながら、近所迷惑なってもおかしくないほどにのた打ち回って笑い転げた。
「カラテカ」を知らないなら知らないで全然構わないし、知らなくたって別に社会的にバカにされることは100%ないと言い切れる。
ただ、「柔道家」、「剣道家」ときて「カラテカ」。
ウソみたいな思い出し方である。
ミラクルだ。
全くもって馬鹿げている。
さっき飲んでしまった固唾を返してくれ!もったいない。
さらにヤツは「カラテカ」を思い出すことに精神を集中させたため、「カラテカ」からその後、何を伝えたかったのかをキレイさっぱり忘れてしまっている。
さっき泣きながら笑ったせいで、もう出る涙がないのである。
向こう1年は泣けない。
涙も返してくれ!もったいない。


明日の記憶を制作されたスタッフの方々へ。

ヒロキジーニョのドキュメントを録ってみませんか?
但し、どんなにシリアスな場面でも笑ってしまいますが…。  

Posted by foe1975818 at 21:59Comments(6)TrackBack(0)