July 21, 2006

洪水

東京暮らしでバイトを共にした、3つ下の友人Kが亡くなったのは、2年前の2月。
その頃ボクは、当に大阪に戻って1年半が経過していたのだが、知らされたのがKが亡くなってから4ヵ月後。
知らせてくれたのは同じバイト仲間の1人である。
普段のボクは穏やかであるが、さすがにこのときは自分を見失うほどにキレた。
でも、キレたところでKはかえってこない。
すぐに冷静さを取り戻したボクは、Kのご両親に連絡を取ってくれと頼み、Kの故郷・青森へと向かうことを誓った。

前の会社を健康上の理由で退職したボクは、通っていた心療内科の先生の勧めもあって、一人旅に出ることとなり、この機会に青森を訪れた(ついでに北海道をグルっと回った)。
Kのご両親はボクを歓迎してくれ、地元青森の料理を腹一杯になるまでご馳走してくれるわ、宿泊する宿まで取っていただくわと、至れり尽くせりの御もてなしを受けた。

Kは東京の某大学を卒業後、地元青森で仕事に就いた。
至って健康だったKが、ある時、不調を訴えて入院。
一旦は退院したもの、再度入院。
この時すでに残り少ない命であることをご両親は告げられたが、Kにはガンであることを告げなかった。
Kはガンと懸命に闘ったが、2月某日に力尽きた。
25歳である。
ボクが訪れた当時、お墓はまだ建てられておらず、近くのお寺でKは眠っていた。
ご両親の悲しみは計り知れず、ボクはまともに顔を見れず、かける言葉も見つからなかった。

Kは白血球の異常が原因のガンで、数千人に1人の難病だそうである(ボクはこの1年後、ほぼ同じ病気で別の知り合いを亡くした)。
前兆として、顔に奇妙な色のデキモノがポツポツとできていたそうである。
ニキビなど一切できなかったKにとっては珍しく、今にして思えばその頃から病気は進行していたのかなと、お父様は唇を噛んだ。





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Posted by foe1975818 at 21:47Comments(7)TrackBack(0)